全剣連からの要請により 木部事務局長が、オーストラリア連邦シドニー市へ剣道代表団として派遣されました。 派遣の報告文をご紹介いたします。 |
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2016年日豪友好協力基本条約調印40周年記念事業
平成28年度オーストラリア連邦日本武道代表団(主催:公益財団法人日本武道館、日本武道協議会)
派遣報告
11月9日から16日の間、公益財団法人日本武道館 臼井日出夫理事長を団長として、柔道・弓道・相撲など12種目、総勢76名が、オーストラリア連邦シドニー市へ派遣された。剣道代表団として、網代忠宏範士八段(剣道代表団責任者)・岸田芊教士七段(剣道代表団副責任者)・安藤誠基教士七段・山下孝明教士七段・大門進教士七段・木部篤生教士七段の6名がこれに参加した。
9日(米大統領選挙の日であったことは、記憶にいつまでも残るものと思う)午後、日本武道館において結団式・壮行会が行われ、松永光日本武道館会長の「豪国との更なる友好関係強化と日本の伝統文化である武道の普及振興に尽力いただきたい」との壮行の言葉・激励を受けた後、22時10分定刻どおり羽田空港を出発。
10日朝、シドニー空港に到着。眩しい光と鮮やかな紫色の花ジャカランダ(ブラジル原産、和名:紫雲木、春を告げる花)が我々を迎えてくれた。団長と各武道団体責任者(剣道:網代範士)はニューサウスウェールズ州スポーツ庁およびシドニー総領事館へ表敬訪問。他は、宿泊場所である、The Bayview Boulevard Sydneyに移動。一息つく暇もなく、シドニー日本人学校を訪問、ミニ演武会と交流会を行った。約300名の観覧者(オーストラリア人児童生徒も多く含まれる。児童生徒240名・教職員・保護者)の中、12種目の武道が順に演武。各種目、僅かな演武時間であったが、気迫のこもった演武を披露。剣道演武は、岸田教士の指揮の下、基本技・打ち込み・地稽古を披露した。終了後には万雷の拍手を受け、勇気づけられる思いがした。交流会では、目をキラキラさせた児童生徒が、我々の竹刀を握ったり、胴を打ったり、剣道具に触ったりして、大きな関心を示した。また、統制のとれた児童生徒の行動に感心させられた。夕食は、市内レストランにおいて、他種目演武者とも懇親を深め、反省と明日以降の演武・稽古会への活力を養い和やかに過ごした。
11日朝、ニューサウスウェールズ大学を訪問。午前は演武会打合せ・リハーサルを詳細に行い、午後に基本技・切り返し・打ち込み・地稽古を披露した。この演武会にはオーストラリア人大学生・教職員・300㎞離れた街から社会見学の一環として中学生が見学に訪れ、約150名の観覧者を得た。彼らの目の輝きは、予定外の交流の場へと発展した。演武会の後、シドニー総領事館公邸に移動。ウエルカムパーティーが催され、全団員が、シドニー竹若敬三総領事とアジャカ多文化大臣の歓迎の言葉を受けた。豪国剣道連盟リチャード・ウォード会長はじめ数名のシドニー剣士がこれに参加、翌日の交流稽古会について詳細を打ち合わせた。
12日朝、シドニー大学へ移動。地元剣士達との交流稽古会か行われた。リチャード・ウォード会長はじめシドニーの剣士を中心に、遠くはメルボルン(シドニーから約900㎞の距離)からも剣士が参加、総勢約60名の稽古会となった。挨拶の後、体操・素振り・岸田教士による礼法指導と基本指導(切り返し・面打ち・小手‐面打ち・面返し胴・小手返し面・小手返し小手。返し技の稽古において、手首を柔らかく遣うことを指導)、回り稽古方式による稽古を行った。稽古終了時には全剣連寄贈の手拭いに記された「武德薫千戴」について、網代範士が説明された。大剣連からも手拭い30本を寄贈した。普段から熱心に基本正しく取り組んでいることがうかがえ、好感が持てる剣士達で、「交剣知愛」を深めることができた。終了後、オーストラリア人剣士と共に市内レストランで、賑やかに昼食を摂り、ここでも剣道談議に花が咲き、彼らの剣道への熱い思い感じた。
13日朝、この事業のメインである演武会の為にオリンピックパークホールへ移動。午前は演武会打合せ・リハーサルを詳細に行い、午後に2,105名の観覧者の中、各種目10分間の演武を行った。剣道演武は、網代範士と岸田教士による日本剣道形から始まり、基本技・切り返し・打ち込み・地稽古を披露し、万雷の拍手を得た。演武会後に行われたワークショップ(武道体験会)では、老若男女、多くの武道愛好者・体験希望者が押し寄せ、剣道具を触ったり、日本武道館準備の竹刀(終了後に、豪国剣連に寄贈)を手に取って、剣道具を着けた我々の面・小手・胴を実際に打って、体験した。その様子は、地元剣士達の加勢もあり、活き活きとしたもので、盛況であった。我々を打つ子供達のキラキラした目を忘れることはできない。夕食は滞在ホテル内レストランで打ち上げを兼ねて行われた。地元武道団体関係者も多数出席され、臼井団長の「素晴らしい演武会であった。大成功である。」との挨拶の後に、出席者全員で喜びを分ち合った。
14日、好天に恵まれ、我々剣道代表団は、「世界遺産ブルーマウンテンとコアラの観光コース」に参加。広い豪国の一角に過ぎないが、自然の広大さと美しさ、コアラ、カンガルー、野鳥などを見て観光を楽しんだ。解団式を兼ねた夕食会は、シドニー湾クルージング船上行われた。船から見る街は格別の美しさであり素晴らしいものであった。この中で、全団員で、労をねぎらい合った。
15日、帰国の途に就くまでの間、現地在住の日本人剣士 菊池氏・福田氏が市内と郊外の海辺を案内くださり、海外での剣道普及について意見交換しながら、その素敵な街並みと景色を楽しんだ。21時30分定刻どおりにシドニー空港を後にした。
16日早朝、定刻どおりに羽田空港に到着、解散。
この事業を通して、他種目武道の様子や技術などを見ることができ、懇親を深める機会となった。また、同時に異文化に触れることができ、素晴らしい経験をしました。剣道の海外普及振興は、平和繁栄に寄与する重要な役割があることを再認識する機会でありました。
最後になりましたが、日本武道館、全剣連、シドニー総領事館、豪国剣連・現地の方々に深く感謝申し上げるとともに、豪国剣道の益々のご発展をお祈りいたします。