剣道指導に当たっておられる皆様へ

 

公益社団法人大阪府剣道連盟
会 長   鏡山 博行


 昨年末、大阪市立桜宮高校で生じた暴力行為とも受け取られる運動部顧問による体罰により2年生男子生徒が自殺するという問題に加えて、全日本柔道連盟女子強化選手への監督による暴力問題が絡み、スポーツ特に武道の社会的信頼を失いかねない事態が発生しています。
 本連盟では、いち早く1月に「剣道指導者の指導対応検討委員会」を立ち上げ、そこでの議論を踏まえて、「大剣連は、剣道指導上の体罰は容認しない」との強い意思を理事会で確認いたしますとともに、指導に当たって御留意いただきたいガイドラインを下記のように策定いたしました。
 日本体育協会、大阪体育協会及び大阪市体育協会からも、スポーツ指導者の指導対応について注意を促す依頼文が、さらに全日本剣道連盟からも、「指導に当たっての暴力行為の根絶に向けた取り組みの推進」との依頼文が送付されて参っておりますので剣道指導者特に少年剣道の指導に当たっておられる皆様方にはくれぐれもご注意いただきますようお願いいたします。



 全日本剣道連盟は、「剣道の理念」「剣道修錬の心構え」「剣道指導の心構え」の三本柱を定めています。「剣道は、剣の理法の修錬による人間形成の道」であり、「それを正しく真剣に学び、心身を錬磨し、旺盛な気力を養い、礼節を尊び、信義を重んじ、誠を尽くして自己の修養に努め」、「竹刀は最大の尊重をもって扱い、生涯をかけて人間形成の道を見出す指導に努める」と明言しています。
 指導者は、弟子と共にこの道を究める師弟同行が基本であります。今回の事件は、今までの指導の在り方を振り返り、あるべき指導の姿を構築する機会でもあると考えられますので、以下のようなことを常にチェックしながら指導に当たっていただきますようお願いいたします。


1、 「試合に負けた。」あるいは「集中しない。」などといっては、罰として常識を超えた長時間の正座、過度な素振りや掛かり稽古など、必要以上の課題を科したり、暴力をふるったり、暴言を吐いたりしていないか。
2、 進学や就職などで優位を保つため、あるいは保護者の意向を重視するあまり、勝利至上主義になっていないか。
3、 竹刀は、日本刀であるとの意識のもとに大切に扱い、体罰の用具としてはいないか。
4、 感謝や尊敬の念を涵養すると共に、真に子供達の成長、発展を願った指導になっているか。
5、 挨拶、返事、下足を揃える等日常のマナー向上を目指した指導ができているか。

 以上の諸点にご留意の上、斯道発展のため引き続きご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

 

更新日:2013.03.19